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2018年12月の記事一覧
四国大会優秀賞作品(意見発表Ⅰ類)
本年度、学校農業クラブ四国大会で優秀賞を受賞した作品を掲載します。
[発表題目]三好校果樹園から発信~ナシ栽培からの地域貢献~
[発表者名]食農科学科3年 曽我部晴菜
「ナシうまかったけん,また買いに来たよ。」
残暑厳しい去年の9月,額に大粒の汗を流しながら果樹園を訪れたおじさんの一言。私たち果樹専攻生が,ナシ栽培に青春をかけ始めた瞬間でした。
私の学校がある三好市は,徳島県西部にあり,清流吉野川を挟んで,南には四国山地,北には阿讃山脈と険しい山がそびえ立つ地域で,その地形を生かし,ラフティング世界選手権,ウエイクボードの世界大会が開催され,世界的にもウォータースポーツが注目されています。
斜面を利用した,クリ,ハッサク,アタゴガキなどの果樹栽培,お茶など様々な農業が盛んでしたが,他の地域同様,農業面では,高齢化,後継者不足で耕作放棄地などが目立ってきました。
この現状をどうにかしようと,先輩達は特産のハッサクをおせち料理の器として利用するなど,さまざまな発想で町の活性化を目指してきました。しかし,地域のハッサクは樹齢が古く,更新時期を迎えており,町の活性化までにはいたりませんでした。先輩達は次の取り組みとして,ナシ栽培を始めました。理由は3つあります。1つめは,三好地域は夏場でも比較的涼しい気候のため,害虫の発生が少なく,生産コストが抑えられること。2つめは昼夜の寒暖差が大きく,通常より糖度の高い果実が栽培できること。3つめは,周辺にナシの大きな産地がなく競合しないことです。
現在,私は先輩たちの意志を引き継ぎ,栽培技術の習得にくわえ,三好オリジナル有機肥料を施した,高品質なナシの生産を目指し,栽培研究と普及活動に取り組んでいます。昨年度までの成果では,果実の肥大と花そう葉の生育に比例関係があることや,果実の肥大開始時期と養分蓄積時期について確認でき,糖度は12度から15度あり,350gから450gの果実が生産できました。これは幸水という品種では「秀」にあたります。
高い技術を習得するため,今年2月,鳴門市の農家を訪ねました。ナシ棚には,2本の主枝から出ている亜主枝が広がり多くの発育枝が生長し,主枝1本に対しての発育枝を稔枝・誘引して数分で1本のせん定が完了するのを目の当たりにしました。教えていただいた長年の技,どれもが驚くもので,私たちの意識がさらに高まりました。
本校の果樹園では,平成22年度にナシ棚を整備,品種は幸水と豊水の2種類。本格的にナシ栽培に関わるようになると,天気とのにらめっこの毎日です。果樹の作業は天候に左右されるといっても過言ではありません。2年前,先輩達が育てたナシは収穫直前に襲った台風で全てダメになってしまいました。自分が手がけるナシが,お客様に届くまで気が気でありません。
1番大変だったのは農薬散布です。減農薬栽培を目指す私たちとっては厳密に計画されたとおりにしなくてはいけません。散布日には,天候とにらめっこ。炎天下では大粒の汗。汗だくになっての作業でした。また,ナシの作業は顔を上に向けっぱなしのことが多く,首が痛い日々が続きます。
しかし,そんな辛い作業も,調査のたびに大きくなる果実を見れば,着実に成長しているのが実感できます。
また,見た目だけではありません。収入面でも確実に成果がでることが実証できたのです。「ナシは高収入につながる」。これを,ハッサクと比較してみると,ナシは0.6haの敷地に株間5m間隔で12本。4月から9月にかけて管理。それに対し,ハッサクは1haに30本,4月から2月まで管理。平成29年度,ナシは900玉の収量があり25万円の収入,ハッサクは15万円でした。ナシはハッサクに比べ,狭い敷地面積,少ない本数,短期間で高収入になることが分かったのです。今年度は1200玉で35万円の収入を見込んでいます。しかし,課題もあります。サイズ・果重を統一し,「秀」の割合を多くすることです。昨年は5割の「秀」を目指しましたが,3割程度。安定した収入を得るためのポイントは肥料配合の研究,適切な水分管理が必須です。
以上の条件をふまえた上で,三好地域でのナシ栽培が十分に可能なことが証明されました。次は,普及の面です。今後はホームページやメディアを通じての情報発信をおこない,三好市ふるさと納税品目の登録を目指します。そして,高齢者でも取り組めるナシの省力栽培を目指し,狭い地域でも収量が見込める「ジョイント仕立て栽培」の普及を加速させます。
お客様の「おいしかったよ。」の一言で,目覚めた私のナシ栽培への情熱。私は卒業後,洋菓子の専門学校に進み,ナシの甘みを生かした商品開発に新たな情熱を注ぎ,地域に貢献していくつもりです。また,後輩達を側面から指導・助言し,ナシの産地化を実現させます。そして,たくさんの方々の「おいしかったよ。」の声を聞くために・・・。そして,笑顔を見るために・・・。
平成30年度 学校農業クラブ活動について
今年度の活動のまとめ
池田高校三好校は県西唯一の農業高校として,「地域に根ざし地域とともに歩む農業高校」をコンセプトに,地域連携を基本とした農業クラブ活動を行っています。今年はその活動の成果を,四国大会県予選会をはじめ,四国大会,全国大会で発表することができました。
四国大会県予選会では,意見発表のⅠ・Ⅱ・Ⅲ類,プロジェクト発表のⅠ類,および平板測量競技に出場しました。その内,意見発表Ⅰ類「三好校果樹園から発信~ナシ栽培からの地域貢献~」が最優秀賞を受賞し,四国大会でも優秀賞を受賞しました。県予選会では意見発表Ⅱ・Ⅲ類とプロジェクト発表Ⅰ類も優秀賞を受賞しました。
また,今年は全国大会クラブ員代表者会議で,四国連盟の代表として本校が事例発表を行いました。分科会テーマは「農業高校への注目や期待が高まる中,クラブ員が自覚を持って応えるためにはどんな活動が必要か」で,本校の地域貢献や地域連携活動を中心に紹介しました。
全国大会農業鑑定競技会には,校内予選を経て,「食品」部門に2名,「森林」部門に1名が本校から出場しました。しかし全国の壁は厚く,賞をとることはできませんでした。今回の経験をクラブ内で共有し,次年度こそは受賞を達成してほしいと思います。
学校農業クラブ各種大会成績
◎校内意見発表会(6月14日 池田高校三好校)
最優秀 31HR カン・アリザ
優 秀 31HR 曽我部 晴菜
優 秀 21HR 冨永 龍矢
優 秀 21HR 中山 こなつ
◎校内農業鑑定競技会(6月20日 池田高校三好校)
最優秀 食農科学科3年 西岡香織
優 秀 食農科学科3年 木藤真弥
優 秀 環境資源科2年 中村優月
◎第69回四国大会県予選会(7月25日 城西高校)
プロジェクト発表 分野Ⅱ類 優秀
食農科学科3年 西岡香織,カン・アリザ,奥本愛羅,木藤真弥,
中津莉緒,長谷麻奈美,前田侑羽
意見発表分野Ⅰ類 最優秀 食農科学科3年 曽我部晴菜
同 分野Ⅱ類 優 秀 食農科学科2年 中山こなつ
同 分野Ⅲ類 優 秀 食農科学科3年 カン・アリザ
◎第69回四国大会(8月21~22日 石井町中央公民館)
意見発表Ⅰ類 優秀 食農科学科3年 曽我部晴菜
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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